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[小説 時] [71 決着]

71 決着

 あんな決着のし方は、今でも、我慢できないんだよ。・・・「違う、そうじゃない」って、お母さんは言いたかったのに、誰も聞いてあげようとはしなかった。「そうだったよ、確かにお母さんの言う通りだったよ」・・・そう言ってやりたいんだ。
 そう、・・・。
 彼には、此処で謝って欲しかった。・・・たっぷりと、時間はあったんだからね。でも、何もしようとはしなかった。・・・この儘で済ませてしまうことには、賛成できないよ。例え、手に入れたものがどんなに大きいものであっても、それとこれとは別だ。
 そうだったの。
 何とか、事実を認めて欲しかった。
 今の話は確かなのね?
 恐らく、・・・。
 どっちなの?
 それが聞きたいのは姉さんだけじゃないよ。只、・・・今だに釈明がないと云うことは、それが事実だったからだ。そうでもなければ、あれ程姑息な手段を取る必要はなかったと思うね。・・・間違いは誰にでもある。それを責めている訳じゃない。筋を通してくれさえすれば、誰でも、どんなことであっても、或る程度のことであれば許容すべきだし、それができる筈だよ。・・・だって、それが常に最優先の選択肢だと云うのは、道徳の基本だものね。それなのに、何故そうしなかったろう。どうしてだろうね?・・・考えられる理由は一つしかない、・・・真実を、口にする訳にはいかなかったからだよ!
 ・・・・・。
 彼だけが事実を知っている。会って、本人の口からそれを聞きたい。

-Dec/6/1997-

・・・つづく・・・



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