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[小説 時] [60 色気]

60 色気

 話の方は、何とか切り抜けられましたが、・・・問題が、ありました。
 怪我人の身元のことか?
 ええ。ご存知でしたか?
 今、院長から連絡があった。
 まずいことになりましたね。
 警察へは連絡した。通報が遅れて、取り返しがつかないことになっても困るからな。それは良い。・・・新聞はどうする?
 それは何時ものように、話を着けましょう。・・・それよりも、・・・。
 例の件はどうなってる?・・・順調なんだろうな?
 例の件?・・・運動場ですか?・・・その件なら、ほぼ話は着きましたが、・・・それが何か?
 今回は全部、あそこに回す。
 えっ!・・・唐突に、何の話です?
 餌だよ。思い切った餌が要る。
 しかし、そこまでしなくても、・・・何か、外に方法はありませんか。何と云っても、今回は久し振りに纏まった仕事ですからね。
 勿論、頭は取るんだ。そんなことは心配するな。・・・今、考えなくちゃならんのは、そんなことじゃない。つまらん色気を出して、此処で躓いたら、後がなくなるんだぞ。・・・問題はそこだ。・・・この儘、長引いてみろ、どんな影響があるか分かったもんじゃない。まずは、少しでも早く片を着ける。そのためにどうするかだ。
 もう少し、様子を見た方が良くはありませんか?
 幾ら用心しても、こう云う話は、必ず何処からか洩れるだろう。それからじゃ遅い。・・・洩れる前に、領収書を取っておかんと、後が厄介になる。そうしておけば、事実を知ったところで、口出しはできんだろうからな。・・・此処は、多少の払いがあっても、しっかり火種を消しておくことだ。・・・この二日の内にだ。

-Nov/2/1997-

・・・つづく・・・



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